なぜ私?

ええ、それは私が某デパートに向かって歩いていた時の話です。

視界に入ったのは、ボサボサの腰まで届きそうな髪に同じくボサボサの髭だらけの男の人。
路上生活をしていそうな雰囲気のその人が目の前を横切り、そのデパートの前を通過していったのです。

意外に匂わないわね…と思いつつ、私はそのデパートの中に入り、上の方の本屋まで行ったら!
その男の人が本屋内を歩いていたのです。

瞬間移動?と軽くびっくりしながら、すぐエスカレーターに乗って上階へ移動している時にいきなり後ろから声が聞こえたのです。

「人間ってやつはよ…」

振り返るとすぐそばに先程の男性が!

ひーーー!至近距離過ぎるから!!

男性は私を一瞥しながら、エスカレーターを登り、そして言葉を続けました。

「人間ってやつはよう、変だと思った人を避けやがって。そんなんじゃ大きくなれないぞ!」とぶつぶつと私に向かって言っているのか、それともただの独り言か、その区別はつかない感じで言いながら私を追い抜かしたのです。

正直怖かったのですが、やはり「意外と匂わない…」と心の中で思いつつ、「はぁ…」と曖昧な相づちを打ってみました…


何故、そんなことを私に訴えたのか、いまだにわかりません…。